今回は、ナポリで出会ったラグー(ragù)とジェノベーゼ(genovese)をご紹介したいと思います。
イタリアでラグー(ragù)といえば、いわゆるミートソース。
イタリア以外の国ではボロネーゼ(bolognese)として親しまれていて、パスタの王道ソースのひとつですね。
また、日本でもおなじみのジェノベーゼ(genovese)といえば、ジェノバ名物の緑のソース。
バジルペースト、松の実、チーズ、オリーブオイルを混ぜて作るフレッシュな香りが美味しいソースです。
そんなラグーとジェノベーゼ、ナポリではまったく違った料理になるんです!
それでは、ナポリ風ラグーとナポリ風ジェノベーゼをご紹介します。
ナポリ風ラグー(ragù napoletano)とは?
ナポリ風ラグー(ragù napoletano)とは、牛肉や豚肉などのさまざまな部位をトマトと一緒に煮込んだもの。
お肉といっても、ボロネーゼとは違って、ひき肉ではなく、大きい塊を使います。
ナポリ風ラグーは、お肉のうまみが出るまでじっくり煮込んだナポリ名物のソース。
パスタはもちろん、料理のソースとしても使われます。
ナポリで評判のピッツェリア CONCETTINA AI TRE SANTI でも、揚げピザのソースとして使われていました(写真上)。
そういえば、この揚げピザを食べたとき、一緒に行ったイタリア人が「ラグーなのにお肉が入ってない!」と言っていたんです。
新しいタイプのラグーじゃない?なんて思っていたのですが、ナポリ風ラグーと一般的なラグー(=ボロネーゼ)は別物だったんです。
後日、ナポリの友人の家に食事に招かれたときに、教えてもらいました。
煮込んだお肉を細かく切ってソースに入れる場合もありますが、家庭ではお肉を入れずにパスタのソースにすることが多いそうです。
ちなみに、煮込んだ塊のお肉はパスタを食べた後でいただきます(美味しかったです!)。
ナポリ風ジェノベーゼ(genovese)とは?
ナポリ風ジェノベーゼも、ナポリで評判のピッツェリア CONCETTINA AI TRE SANTI のコースの一品として出てきました(写真上)。
フリットの上にかかっている茶色いソースがジェノベーゼです。
ナポリ風ジェノベーゼは、玉ねぎと牛肉をじっくり煮込み、玉ねぎの甘みとうまみをしっかり引き出したソース。
日本でジェノベーゼといえば、「ジェノバ名物のバジルの入った緑色のソース」というイメージですが、イタリアでジェノベーゼと言えば「玉ねぎを使った茶色のソース」なんです。
イタリア語でジェノベーゼを検索すると玉ねぎのソースが出てきます。
でも、イタリアでも「ジェノベーゼ=バジルソース」というイメージが強く、玉ねぎのジェノベーゼは、ナポリ地方以外ではあまり見かけません。
ラグーとジェノベーゼ、ナポリでは何と呼ぶ?
ナポリ料理のラグーとジェノベーゼと、わたしたちがイメージするラグー(ミートソース)とジェノベーゼ(バジルのソース)が違うことは分かりました。
では、いわゆるひき肉のミートソースのラグーと、バジルのジェノベーゼは、ナポリではなんと呼ばれているんでしょう?
ナポリの友人に聞いてみたところ、ナポリでは、
ひき肉のミートソース = ボロネーゼ(bolognese)
バジルのソース = ペストまたはペスト・ジェノベーゼ(pesto/pesto genovese)
と呼ばれるそうです。
ちなみに、バジルを使ったソースは、イタリア各地でも ペスト または ペスト・ジェノベーゼ と呼ばれます。
まとめ
ナポリ風ラグーとジェノベーゼをご紹介しました。
おなじみのソースも、地方が変わると全く違うソースになるのはビックリですね。
最後に、ナポリでの各ソースの名前をまとめておきます。
ジェノベーゼ = 牛肉と玉ねぎをじっくり煮込んだソース
ボロネーゼ = ひき肉を使ったミートソース
ペスト(ペスト・ジェノベーゼ)= バジルを使った緑色のソース
ラグーを頼んだのにお肉が入ってない!
ジェノベーセを頼んだら甘い玉ねぎのソースだった!
ということがないように、ナポリに行く前に覚えておくと便利かもしれません。
もちろん、ナポリ風のラグーもジェノベーゼ、とっても美味しいので、ナポリ行ったらぜひ食べてみてくださいね。