この記事では、イタリアにおけるインフルエンザ事情をご紹介します。

イタリアでもインフルエンザって流行るの?
イタリアのインフルエンザ事情が気になる方は、参考にしてみてくださいね。
冬の寒さが厳しいイタリアでは、日本と同様、毎年冬になるとインフルエンザが猛威をふるいます。
ところが、イタリアでのインフルエンザの定義は日本とはちょっと違います。
イタリアに住んでいると、イタリアの人たちが言う「インフルエンザ」が日本でいう「インフルエンザ」とイコールではないことが分かります。
それでは、イタリアのインフルエンザ事情をご紹介します。
イタリア式インフルエンザの定義とは?
ご存知の通り、イタリアは北半球に位置するので、日本と同じように冬の寒い時期にインフルエンザ(?)が流行ります。
インフルエンザ(?)とクエスチョンマークを付けたのは意味があります。
イタリア人的にはインフルエンザなんでしょうが、日本人の私からすると「本当にインフルエンザなの?」と思うからです。

そうそう、本当にインフルエンザなのか分からないんだよね。
イタリアでは風邪が流行ると、
「Aさんがインフルエンザで寝込んでいる」
「Bさんがインフルエンザで会社を休んでいる」
「Cちゃんがインフルエンザで学校を休んでいる」
と誰もがインフルエンザにかかっているという話を耳にします。
「インフルエンザが流行っているから気をつけなきゃ」という話題にはなるものの、「今年は何型が流行ってるの?」と聞くと、誰も答えてくれません。
それもそのはず、イタリアのインフルエンザの定義は日本のインフルエンザの定義とは少し違うんです。
正確な定義は分からないのですが、イタリアでは「発熱を伴った風邪」や「流行しているときにひいた風邪」も、「インフルエンザ」呼ばれるのです。
もちろん、日本でいうインフルエンザもここに含まれます。
イタリアではインフルエンザの検査はしない?
日本ではインフルエンザが流行する時期に熱を出したりして病院に行くと、まずインフルエンザの検査をしますよね。
日本でインフルエンザの検査というと、
「鼻の奥に綿棒のようなものを入れて粘膜をこすり、しばらくすると結果が出るインフルエンザ検査キット」
が知られています。
検査を受けるタイミングによっては反応が出ないケースもあるようですが、インフルエンザかどうか、しかも、何型かまで分かりますよね。
一方、イタリアではどうかというと、日本のような検査キットを使ってインフルエンザの検査をしたという話は聞いたことがありません。

検査しないのにインフルエンザなのか分かるの?
そうなんです。
イタリアでは、日本のようにインフルエンザの検査をせず、症状だけでインフルエンザと判断されることがほとんど。
日本でいうインフルエンザなのか、ただの風邪なのか、それとも知恵熱なのか、分からずにまとめて「インフルエンザ」と表現されるんです。
つまり、イタリアでは、熱が出るとインフルエンザと呼ぶことが多いのです。
イタリアのインフルエンザの薬は?
繰り返しますが、イタリアでは、基本的にインフルエンザの検査をしません。
なので、熱が出ると、日本でいうインフルエンザなのかどうなのか分からないまま、とりあえず解熱剤を服用するのが基本。
イタリア人が熱が出たときに服用する薬といえばタキピリーナ(Tachipirina)。
どこの家庭にも常備してあるイタリアでは超ポピュラーな解熱・鎮痛剤です。

イタリア人いわく、タキピリーナは万能薬らしいね。
タキピリーナは、イタリアでは熱が出たときだけでなく、頭痛があるときにも使われる定番の薬。
タキピリーナには、錠剤や水に溶けるタイプ、シロップなどいろんな形態があります。
(身近では水に溶かして飲むタイプのタキピリーナを使っている人が多いです。)

でも、もしインフルエンザだったら解熱剤飲まない方がいいんじゃない?
日本ではインフルエンザの疑いがある場合、解熱剤は服用しない方がいいと言われますが、イタリアでは「熱が出たら解熱剤のタキピリーナ」が常識です。
というわけで、イタリアでは(というか私のまわりでは)、タミフル・リレンザ・イナビルといった抗インフルエンザ薬(ゾフルーザという新薬も出たそうですね)の名前を聞いたことはありません。
イタリアでも抗インフルエンザ薬が使われているのかもしれませんが、一般的ではないようです。
症状がひどくなったら病院に行きますが、インフルエンザなのか風邪なのか分からないまま、タキピリーナを飲みながら回復を待つのがイタリア流。
イタリアで「本物の」インフルエンザにかかって、症状がなかなか改善せずに長引く人がいるのはそのせいかもしれませんね。
イタリアではインフルエンザでもマスクはしない
イタリア人は風邪をひいても花粉症でもマスクをしません。
イタリアでマスクをするのは重病人。
感染予防や花粉予防のためにマスクをするという意識が全くないのです。
なので、インフルエンザにかかっている人もマスクをせずに過ごします。
ちょっと体調が悪かったり、熱っぽいくらいではマスクをせずに会社や学校に行くので、まわりへの感染力は半端ないです。

マスクしてよー。
イタリアでもマスクが少しでも浸透すればいいのにな、と思う今日この頃です。
ちなみに、イタリアでも日本をはじめとしたアジア諸国ではマスクをしている人が多いことはけっこう知られています。
でも、マスクが風邪予防や花粉対策だということはあまり知られておらず、「日本は空気が汚い」と思い込んでいるイタリア人が多いんです。
実は、大気汚染はイタリアの方が深刻なのですが。
おわりに
イタリアのインフルエンザ事情をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
イタリアではインフルエンザの検査をしないことを知ったときにはびっくりしました。
インフルエンザの検査や薬が一般的でないイタリアでインフルエンザにかかってしまったら?と想像するだけで怖いです。
日本でもイタリアでも、インフルエンザや風邪をひかないように過ごしたいですね。